韓国海軍が導入を予定している3500t級潜水艦事業を調べてみました。
写真引用:韓国海軍HP
昨日の記事「
そうりゅう級潜水艦がAIP機関をリチウム電池に交換し潜航時間を大幅延長するらしい by 韓国の反応」の韓国人のコメントに「3500トン級潜水艦」と話があって、詳しく知りたと要望があったのでちょっと調べてみました。
KSS-III(張保皐事業)大韓民国海軍が2020年に実戦配備する3500トン級潜水艦の開発事業のこと。
この事業で潜水艦の独自設計と建造技術を確保し、独自に潜水艦を設計・建造できる12番目の国になることを目指している。計画では2020年から計9隻の3500トン級潜水艦を導入を予定。
■計画では・・・・2018年から2021年までに前期型3隻を建造
・2021年から2029年までに後期型6隻を建造
・1隻辺りの建造費7000億ウォン(約700億円)
・垂直発射管を備える(弾道ミサイルではなく巡航ミサイルを搭載予定)
・AIP機関として燃料電池+ディーゼル推進方式
・最大17日間潜行可能ざっくり言うとこんな感じです。今年の1月から船体の設計に入ったと記事になっていました。そもそもKSS-III計画は、従来の潜水艦(孫元一級潜水艦:別名214級潜水艦)整備事業の延長線ではなく、全く別のところからの話が脈々と受け継がれて「KSS-III計画」として結実したという話です。
■簡単に要約すると・・・
・1990年に盧泰愚大統領とゴルバチョフ大統領が会談した際、30億ドルの経済協力借款を約束。
・その後、14億7,000万ドルをソ連に貸すも、ソ連が崩壊しロシアは経済危機に直面。
・返済の代わりにロシアから原子力潜水艦の図面を提供される。
・韓国の売業者がロシアから空母や原子力潜水艦6隻を含む潜水艦30隻をスクラップとして購入。
・1996年に金泳三大統領、3000トン級の中型潜水艦の建造を指示する。
・2003年に中型潜水艦のエンジンを原子力に変更し早期獲得を非公開に指示。
・2004年に朝鮮日報が原子力潜水艦を開発する計画をすっぱ抜く。
・2005年に計画が漏れたため計画が挫折したと発表。通常動力型として計画を続行。
・2007年に正式に「KSS-III計画」として承認され建造が決定。
・2010年に英国を訪問した李明博大統領が英国に原子力潜水艦用の燃料の購入を打診。
・2014年に船体の設計に着手このように、借款返済の変わりに「原子力潜水艦の設計図」と「スクラップとして原子力潜水艦」を入手し技術や情報を手に入れ、原子力潜水艦建造の野望に燃えていましたが、様々な諸事情で頓挫したあと通常動力型の計画に変更されました。
しかし現在でも、KSS-III計画の規模を縮小(後期型6隻⇒3隻)させて、後期型の3隻を原子力推進型に変更する案も検討されていると記事になっています。昨日の記事の韓国人のコメントに
「3千トン級潜水艦はドイツと紛争と訴訟で完全に決別し、英国などの技術支援をもらって大韓民国がほとんど独自に作った初の大型潜水艦です」とありましたが、
■管理人が推察するに・・・
・ドイツと紛争と訴訟で完全に決別⇒孫元一級潜水艦の不具合を拡大解釈
・英国などの技術支援⇒原子力潜水艦用の燃料の購入を打診したことを拡大解釈
・大韓民国がほとんど独自に作った初の大型潜水艦⇒ロシアから技術を提供(盗む?)まぁこんな感じです。潜水艦に限らず韓国では初めて作る場合にも、直ぐに「国産」「独自開発」「独自技術」といいますが、本当に一から技術を習得しデータを集める場合、もっと試行錯誤やテスト艦を作っていると思います。それをいきなり実戦投入レベルを建造するんだから、当然一発ギャンブな訳がないので、確認・立証された技術やデータを何処かから持ってきてるのは当然でしょう。
■KSS-III計画をまとめると・・・
・技術はロシアとドイツのミックスになる
・どうやら後期建造タイプで動力を原子力に変更するぽい
・どうしても日本より先に原潜をゲットしてホルホルしたいらしいどうやらこんな計画らしいです。潜水艦は海を移動する艦船のなかで一番作るのが難しい艦種で経験がものを言います。経験の浅い国が潜水艦を設計・建造して酷い事になった例は沢山あります。潜水艦を運用できている国は沢山あります。潜水艦を建造できるくには限られます。さらに潜水艦をまともに設計できる国は数カ国しかありません。
自前設計がいきなり3000tオーバーで、本当にちゃんと動くのか疑問ですね。
終了~