産経新聞ソウル支局長を名誉毀損で在宅起訴した問題が大きく取り上げられる中、あまり日本側には伝わっていない情報を交えながら簡単にまとめてみます。
そもそも事の発端は
今回の問題は、産経新聞が国家のトップである朴槿恵大統領をセウォル号沈没当日の行動とリンクさせ「不倫」「男女の関係」と言った「個人的なプライバシー」の側面から「悪意」を持って記事を書き、韓国大統領としての名誉や尊厳を毀損したと、大統領側が言い出したのが、そもそもの発端。そして産経新聞は、記事を書くにあたって「朝鮮日報のコラム」から「問題となった部分を引用した」と言うことが問題を複雑化させています。
問題のコラムを書いた記者の言い分は詭弁
9月の中旬に「【コラム】大統領をめぐるうわさ」を書いた記者が、参考人資格で検察に呼ばれましたが、その要求を拒否して、自分の記事を引用した産経新聞に対しこのように語っています。
・このまま沈黙していても、よくないと考え自分の考えを伝えることにした。
・産経新聞は私のコラムをそのまま引用したと言ってる。
・しかし私のコラムでは「男女関係」と言う言葉は使っていない。
・私のコラムと産経新聞の記事とでは記事の性格がまるで違う。
・産経新聞の記事は低俗だ。
・私の記事は大統領と大統領府の国政運営方式に関する批判。
使用された語句を照らし合わせれば「この語句は使ってる」「この語句は使っていない」と差異はあるでしょう。しかし問題の本質はそこではない。朝鮮日報の記者が「男女関係」という言葉を使っていないし「大統領と政権批判だ」という記事をもう一度読みなおしてみましょう。
・産経前支局長在宅起訴:朝鮮日報コラム(要旨)
・産経前支局長在宅起訴:産経新聞コラム(要旨) 朝鮮日報の記者が書いた「【コラム】大統領をめぐるうわさ」によると・・・
・隠したい大統領のスケジュール
・秘線(秘密にしたい人物)と会っていたという噂話。
・良識のある人なら口にすること自体自体、その人の品位を下げる内容。
・噂話に登場するのは離婚歴にあるチョン・ユンヒ氏(男性)。
・この人物の登場で事態はさらにドラマチックになった。
・離婚した妻に対し婚姻期間中の「秘密の維持」を求めた。
・チョン氏は政治家、朴槿恵の7年間の秘書室長だった。
確かに「男女の関係」という言葉は使ってはいないが、
十分に「男女の関係」を匂わせる要素と書き方をしているのは間違いない。逆に、これだけの事を書いておいて「男女の関係の噂」でないのなら、一体、この噂が何を意味しているのか朝鮮日報の記者に説明してもらいたい。
仮に「朴槿恵大統領がチョン・ユンヒ氏と密会し不正に政治資金でも貰っていた」という噂だとでも言うのなら、「離婚歴」や「婚姻中の秘密の維持」と言ったくだりはいらない。 朝鮮日報のコラムが言いたいことが「大統領と政権批判」だったとしても、朝鮮日報のコラムを読んで受け取る印象は、
結局「男女の関係」を匂わせた噂話を引き合いに政権批判をしている。 あと産経新聞は日本のメディアです。韓国の国内メディアで国内の噂話を国内の韓国人にするなら、微妙なニュアンスや言い回しでもいいでしょうが、この内容を日本人へ紹介するなら、そのあたりが伝わりにくいので、もっと直線的な表現として「男女の関係」という表現を使ったまでです。
以上のことから「男女の関係」という言葉を使ったか、使っていないかは、この場合関係ない。
韓国検察の無理がある起訴理由
今度は韓国の検察が産経新聞を起訴した理由を見て行きましょう。
検察は基本的に記事の内容が客観的な事実はと間違った虚偽の内容であること、何の根拠もなく、女性大統領に不適切な男女関係があるかのような虚偽を書き、名誉を毀損したことを司法処理の理由として提示した。
また、当事者の相手に事実確認を行うなど、必要な措置を取らないまま、証券街の情報誌や政界消息筋など信頼できない資料を報道根拠に提示しただけで、具体的な取材の根拠を提示できなかったこと、23年間の記者生活と4年近い韓国特派員生活を通じて国内事情をよく知っている点、被害者たちに対する、すまなかったという謝罪や反省の意思を見せない点なども総合的に考慮して、処罰性が高いと判断した。
引用:NEWSis
当事者の相手に事実確認を行うなど、必要な措置を取らないまま、証券街の情報誌や政界消息筋など信頼できない資料を報道根拠に提示しただけで、具体的な取材の根拠を提示できなかった
朝鮮日報のコラムを「引用」した記事だと言ってるのに、当事者への「裏取り」をしていなかった事を理由にするなら、もう「引用」した記事なんて書けないでしょ? お宅の国のメディアも、特に日本の「政治問題」や「外交問題」について、日本メディアの報道を引用して記事を書いています。では引用した記事は、
ちゃんと当事者や関係各所に「裏取り」をしてるんですか? 被害者たちに対する、すまなかったという謝罪や反省の意思を見せない点
これは失笑www 産経新聞は「引用しただけ」と言っているのに、謝罪や反省をすれば韓国が無理やりでっち上げた「罪」を認める事になります。
そして最大の問題はここ。
基本的に記事の内容が客観的な事実はと間違った虚偽の内容であること、何の根拠もなく、女性大統領に不適切な男女関係があるかのような虚偽を書き、名誉を毀損したこと
結論として、記事の内容が「間違っていた」とするなら、当然「朝鮮日報のコラム」も間違った情報を広めた事になりますよね? 朝鮮日報のコラムも、産経新聞の記事でも、「ウワサの内容は~」と書いています。法の公平性を保つなら「朝鮮日報はいいけど、産経新聞はダメ」というのでは、納得が行かないですね。
墓穴をほって弱みを抱えた朴槿恵政権
最後に、この問題を別の視点から見てみます。朴槿恵政権側も、朝鮮日報側も、産経新聞側もそれぞれ主張の正当性を高める為に、話を肉付けし本質が見えにくくなっています。そこで全てを、そぎ落としてシンプルにすると・・・
■朴槿恵政権側の意図
最近の「反韓」「嫌韓」の風潮を煽る日本のメディアを快く思っていない政権側は、日本を代表する大手メディアを見せしめに「警告」を与えようと画策した。 ■朝鮮日報側の意図
政権側の見せしめに巻き添えをくらい、国内での立場がるのでひたすら「産経新聞との差別化」を訴える。 ■産経新聞側の意図
???????? ここで朴槿恵政権側の誤算があったのは「名誉毀損」で訴えれば簡単に事態は終わると思っていた事。しかし実際には・・・
・日中関係の急速な関係改善の兆候
・この件に海外メディアが食いついた事
・米国まで注視してると言ってきた事
・朝鮮日報を引用したという事実が以外に無視出来ない事 結局、後には引けないので「在宅起訴」という中途半端な形で政権側が押し切りましたが、朴槿恵政権が当初予定していた「見せしめによる日本メディアの反韓・嫌韓に対する牽制」という目論見が、これから裁判を行なう過程で日本に継続して攻撃材料を与える「弱み」に変化してしまいました。
そしてこの問題が朴槿恵政権にとって一番最悪なのは、韓国人の気質として海外からの評価によって考え方が変わる恐れがあると言う点です。現在は「反日」という基本的な接点で、今回の処分を支持している世論が、海外からの「それはおかしい」との声で「この処分は間違いじゃないの?」と、政権への支持が不支持にいつ変化してもおかしくないのです。
実際に、まだ数は少ないですが「今回の件で起訴したのは間違いだ」という社説がチラホラ出てきています。
管理人の予想では世論の支持がある内に、審理を超スピードで行い決着を図るでしょう。逆に産経新聞は裁判を引き伸ばし、日本のメディアと政府は、この件を継続して海外に発信し韓国人が一番嫌う「国際社会からの批判」を高めていけば、結果はどうなるかは分かりませんが、朴槿恵政権にダメージを与えることができそうです。
※ホル韓的にまとめた考え方なので、外していたらごめんなさい。