韓国のネット掲示板に「次期海上哨戒機事業で、どのような機種が選ばれるだろうか?」というスレッドがあったので紹介します。
次期海上哨戒機事業で、どのような機種が選ばれるだろうか?
引用:panzercho.egloos.com/
http://panzercho.egloos.com/11144006
>>>板の趣旨
板の趣旨が非常に長いく、くどいので管理人がまとめておきます。まとめを読めば、下の長い文章を読む必要はありません。(興味にある方だけ読んでみてください)
■本文の要約
韓国では現在、次期海上哨戒機(対潜哨戒機)事業が進行しています。計画では2018年から新しい哨戒機の導入が始まります。そのスケジュールでいくなら2015年には機種の選定をしなければならないのに、具体的な話が出てきません。
一度今年の初めに、米国海軍から退役したバイキングを導入するという話が出ましたが、何故米国でも退役した機種を採用するのか?と言う批判に晒され結局、防衛事業庁は何も決まっていないと発表しました。
では、次期海上哨戒機事業の何が問題なのか? それは圧倒的な予算の少なさ(1兆ウォン=約1000億円)にも関わらず、対潜機が20機必要という軍の要求に、そもそも事業が成り立っていないという点。
現在候補に上がっている機種は4機種で、
[候補1]
S-3Bバイキングは、唯一予算内で20機が揃えられるが、機体自体が古い。
[候補2]
P-8ポセイドンは、性能面でも申し分ないが予算で購入できるのは4機が限界。
[候補3]
SC-130Jは、性能も価格も全てが中途半端で、予算内で6機しか購入できない。
[候補4]
CN-295MPA、価格と性能のバランスが良い。予算内で12機購入できる。
予算の制約があるのは分かるが、予算を増やしてでもまともな哨戒機を導入して欲しい。 ※原文
現在の大韓民国海軍で運用している海上哨戒機はP-3CとP-3CKで、計16機を保有しています。よくご存知であるようにP-3CKは、米海軍から退役したP-3Bを持ち込み、骨組みを補強して装備を変更しP-3CKに改造しました。P-3CKの方がP-3Cより性能の面で少し優れた海上哨戒機です。既存のP-3C海上哨戒機をP-3CKと同等の性能に引き上げたり、P-3CKよりも優れた性能に向上させる事業があり、2016年まで推進する予定です。
天安艦沈没事件後、大韓民国海軍は積極的に対潜戦力を補強しようと努力しているが、その中に一つが次期海上哨戒機事業です。この次期海上哨戒機事業の事業費は1兆ウォンで、20機あまりの海上哨戒機を導入しようとしています。導入時期は2018年から海上哨戒機を導入する予定で、2013年5月頃マスコミに出た話だと次期海上哨戒機事業に使用する哨戒機は、米海軍から退役したS-3Bバイキングで、20機余りを導入するという内容でした。
2013年の国政監査で、1974年に生産開始したS-3バイキング導入することに対して憂慮しており、後続軍需支援を受けることに困難が発生すると指摘されました。現在の予算で購入できる機種がない海軍の悩みは理解するが、緻密な先行研究を通じて、現在推進中の事業に対する慎重なアプローチが必要だと注文しました。
以降2014年1月にマスコミでもう一度取り上げられ、退役したバイキング哨戒機を敢えて導入するべきか? また輸入したとしても10年は使用すると予想されているのに、どうして退役したバイキングを導入しようとしているのか?という世論が形成されました。そして、ついて防衛事業庁は次期海上哨戒機導入と関連し現在、事業の基本戦略の樹立に向けた先行研究が進行中であり、先行研究を通じ、事業推進方法や日程などを具体化する予定で、現在までに機種をはじめとした、どのような事項も決定されていない」と明らかにしました。
2014年が終わろうとしているのに、まだ海上哨戒機に関する内容は発表されていません。2018年から導入しようとすれば時間はあまり多く残されていないが、まだ具体的な内容が何も出てきません。2015年に機種を決定すれば、2年位の時間がありますが、2015年まで決定できなければ導入時期を調整しなければならないだろう。
現在、次期海上哨戒機の事業に上がった候補は計4種で、P-8ポセイドン、SC-130J、CN-295MPA、S-3Bバイキングです。
総事業費は1兆ウォンで、海軍が導入を希望する20機を予算内で揃えることができる機種はS-3Bバイキングだけです。上記でも言及しましたが、S-3Bバイキングの導入反対の世論が形成されたことにより、いったん海上哨戒機事業はしばらく鳴りを潜めていました。
候補機種には長所と短所があります。
まずS-3B最大の長所は予算内に収まると言う点で、短所はとても古い機種で退役した機種を補強しても長く使用できないということ。大体導入して10年ほど寿命がくるのではないかと予想されています。
P-8Aは性能面は問題がなく、優れた機種だが、1台に2億ドルを超える機種で、予算内では到底無理だということです。米海軍とインド海軍が採用するなどP-3Cの系譜を継ぐ機種ではあるが、何よりジェットエンジンを利用した速いスピードは魅力的な部分です。1機当たり2,336億ウォンと1兆ウォンではおよそ4機の購入が可能です。
SC-130Jはまだどの国も採用していない海上哨戒機です。SC-130JはC-130を基盤としています。C-130輸送機として世界的なベストセラーだが、まだ採用されておらず、P-8Aよりも価格が安いが、大幅に安いかといえばある程度の予算が必要になります。1機当たり1,593億ウォンで、1兆ウォンだと6機程度が購入可能と思われます。
CN-295MPAは、韓国軍でも導入して使用しているCN-235輸送機より少し大きい機体で、チリ海軍でも採用され、現在運用中です。海上監視レーダー、電子光学赤外線探知装置、磁気探知装置、ソノブイなどを搭載することができ、潜水艦探知にも無理がないとみられますが候補機種の中で最も速度が遅く、滞空時間などで見劣りをします。1機当たりの価格が807億ウォンで、1兆ウォンで12機程度の購入が可能です。
これまで防衛事業庁は類似した機種を見つけて、競争入札方式で事業を進めました。これは価格が安価な機種を選択できる長所はあるが、軍が希望する性能を持った機種や装備がない機種が選択される可能性もあります。(中略)
単純に数字的な意味なら1兆ウォンで収まるはS-3Bバイキングを選択しなければならず、対潜性能を引き上げるとすればP-8AやSC-130Jが必要です。
(中略)
今回に導入する次期海上哨戒機は事業予算を少し増やしてでも、まともな海上哨戒機事業になって欲しいと思います。
>>>韓国人のコメント
韓国人
個人的にはCN-295MPAが最も可能性が最も高いと思う。P-8は長期間・長距離飛行に適した機種で米国やインドなどで称するのに最適だ。その為、価格も非常に高くて領海が狭い上、予算が不足している韓国には不似合いだ(領海が広い日本でもP-8を導入せず、独自生産したP-1を使用)、S-3バイキングはあまりにも古い機体で、搭載されている対潜装備は交換が避けられないという点が負担だ。
韓国人
CN-295MPAも様々な問題があるのが明らかになっている。実は機体の大きさが小さく、操縦士はもちろん、航法士、対潜戦の要員などが搭乗し、何時間も任務につくには、余りにも機体が小さい。
韓国人
私たちみたいな「部外者」がいくら話をしても、海軍の水上艦隊と海軍の航空隊との間でパワーゲームが行われ、選ばれる機種はその結果の産物でしかない。
韓国人
必ずしもそうではない。軍内部でも世論の流れをチェックしているため、機種が変わることもある。その例がF-15SEを決定したのに、世論の雰囲気がF-35に変わったため決定を覆した。軍も世論に神経を使わざるを得ないということだ。
韓国人
元々極限までの火力志向型軍隊である韓国軍では、敵に直接火力投射をしない部隊はその立地が弱いのが当然。
韓国人
以前、日本の自衛隊の兵器や装備がガラパゴス化して笑っていたが、最近、韓国軍の兵器や各種装備も日本の自衛隊に劣らないほどガラパゴス化が酷い。
韓国人
そうだね。韓国型兵器は、名品と良く呼ぶけど、実際に性能面で、外国製品と比較した場合、そこまで優れているものではないということ。
韓国人
実は韓国製の武器をよく見れば西側製兵器の廉価版だと言える。
韓国人
しかしS3バイキングを導入すれば艦載機の運用経験を積むことが出来るよ。
韓国人
確かに海軍の固定翼の運用経験と空母着艦(米軍の承認の下で米空母)の経験を得られるだろうね。空母導入のいい練習になるだろう。
韓国人
空母を導入しようとすれば大きく役に立つだろうけど、そうでなければ・・・
韓国人
ポセイドンはあまりに贅沢すぎる、その他の2機種が最も適当だと思います。
韓国人
まぁ一番現実的なのはP-3Cを追加導入する方向だと思う。状態のいいP-3Cを売ってくれる国があればの話だけど
韓国人
P-3の製造ラインを復活させられないのか?
韓国人
逆に韓国も日本のようなP-1海上哨戒機と同じ国産型を作ろうとすればいいのだが、最近の不正を見ていると国産で作ろうということ自体が怖い。
韓国人
まぁ対潜戦の有効性や重要性は知りながらも、水上艦ばかりに優先的に予算を投入しているように見える。
韓国人
事実、水上艦戦力では北朝鮮を圧倒している状態なので、対潜戦力に予算を投入すべきだと思うが、北朝鮮を除いた日本や中国に比べると水上戦力が不足している。
韓国人
バイキングは本当に狂気の沙汰にしか見えない。予算が不足しているのなら、数年に一度P-3Cを1機ずつ退役させ、代わりにポセイドンを1機ずつ買うのも悪くないと思います。
>>>管理人の補足
これも馴染みの薄い話ですが、簡単に説明。
韓国人が言ってるS-3Bバイキングの話はこれ⇒
「韓国「米軍の中古軍用機を購入するから100機ほど状態のいいやつを用意しとけと言っておいたのに27機しかないと言われた」」です。
そもそも正面装備にしか金の行かない韓国で、対潜戦の重要性など理解できないでしょう。1000億で20機も導入しようというのが無理な話。米軍がP-8を導入すればP-3Cが退役するので、それを格安で譲ってもらうしかありません。しかし1000億で20機ということは1機あたり50億円。P-3Cの新規調達価格が100億前後なので、一番妥当な線ではないでしょうか?
対潜哨戒機の話が出たので、ついでの話を書くと、現在使用中のP-3の次世代機として日米は、それぞれP-8ポセイドンとP-1哨戒機を選択しました。これはとても興味深いです。
なぜ興味深いかと言えば、P-3を運用し世界でも対潜戦戦力のトップクラスである日米が全く異なる対潜戦のコンセプトを掲げたことが管理人にとって興味深いです。
日米の対潜の将来コンセプトの違いを簡単に説明すると・・・
[日本の場合]
基本軸はP-3Cの延長線的発想。対潜機が哨戒し敵潜水艦を見つけると、搭載してある魚雷で攻撃するか、近くの味方艦船に攻撃の指示をするかと言う従来通りの戦術を、より早く、より効率的に行う為の機体がP-1哨戒機です。ジェットエンジンを採用することで、哨戒地点への移動を迅速に行い、P-3C哨戒機で培った対潜戦術や技術を元に、搭載される電子機機器などをグレードアップさせました。[米国の場合]
ここに来て米国は対潜戦の発想をガラリと変えてきました。これが吉と出るのか凶と出るのかは、まだ未知数ですが・・・ 米国の場合、受け持つ対潜哨戒地域は、日本の比ではありません。世界各口を監視するので沢山の数が必要になります。
そこで対潜哨戒任務に無人機を取り入れることで、1機辺りの哨戒機が受け持つ範囲を大きくし、哨戒効率を上げることで、有人の対潜哨戒機の数を減らすことにしました。具体的に言えば、P-8ポセイドン1機に対しグローバルホークの海軍版である「MQ-4C トリトン」が2機から3機が同時に対潜哨戒任務につき、広大な哨戒範囲の中から敵潜などを発見した場合は、その海域にP-8が向かうという寸法です。この様に日米とも己の信じる道へ歩み始めました。
日本は限定された哨戒海域をより効率的に、米国は世界を各地の海域をより効率的に
とても興味深いです。