長いし内容がてんこ盛りで書き方が回りくどいので管理人が要約します。
【韓米原子力協定で韓国が得られたもの】
①核燃料の濃縮と再処理を「明確」に禁止していたゴールドスタンダード規定を撤廃
②韓米で共同開発中の再処理技術「パイロプロセシング方式」による初期工程を行える
③パイロプロセシング方式実用化までの研究に関して米国と協議・合意のもと進めていく
④使用済み核燃料を第三国(韓米が合意した)にて再処理を委託することが可能に
⑤ある特殊条件下の元にウランの低濃縮をできるかもしれない権利
⑥米国製原子力発電の部品などを第三国に再移転(輸出)する際の許可手続きを撤廃
核燃料の濃縮と再処理を「明確」に禁止していたゴールドスタンダードを撤廃
以前の韓米原子力協定では核燃料の濃縮と再処理を明確に禁止していため、このゴールドスタンダードが韓米原子力協定から消えたことで、核燃料の濃縮と再処理が許可されたと韓国で受け取られているようです。ただし実際にそう簡単に核燃料の濃縮と再処理が可能になった訳ではありません
開発中の再処理技術「パイロプロセシング方式」による自由と制限
核燃料の再処理を行っている国はほぼピューレックス方式を採用しています。しかし韓国が再処理技術に選んだ(?)のはパイロプロセシング方式で、これが実用化すればピューレックス法に比べて、少ない工程で処理が可能で、処理装置の小型化が可能になります。しかしこの技術は論理のみで、未だに実用化された技術ではなく、それを韓米が共同開発しているという話。
現在のところ実用化できているのは使用済み核燃料からウランを分離させる「電解分離処理工程」のみで、その後の精製については未だに研究中です。要するに米国は韓国に新技術である「パイロプロセシング方式」の「電解分離処理工程」を実証する試験を「自由にしていいよ」と言っただけで、それ以降の研究開発は米国と協議・合意の上で進めるとしっかり「首輪」をつけている格好です。
要するに技術が確立されいる「ピューレックス方式」での再処理は認めず、「パイロプロセシング方式」のみでの再処理しか認めないということ。しかもまだ開発中の技術で完成するかどうかは未知数。その上、事実上米国との合意がなければ開発は進められないという「首輪」つき。こうなると米国のさじ加減一つでこの技術完成するのか、そもそも開発が進むのか、全て米国次第という話。
まぁ一番悪どいのは韓国は「パイロプロセシング方式」が完成しないからといって、「ピューレックス方式」を導入して再処理をすることが出来ないということ。今回の韓米原子力協定で逆に「パイロプロセシング方式」でのと明記されてしまっているので、これは再処理への可能性を逆に狭めた格好になっています。
ある特殊条件下の元にウランの低濃縮をできるかもしれない権利
韓国は「パイロプロセシング方式」が完成すれば、使用済み核燃料からウランを抽出することが出来ます。しかしこれを原発で使用する核燃料に加工するためには濃縮を行わないといけません。一般的に原発に使われるのは低濃縮といって20%程度まで濃縮する必要があります。
今回の協定改正で濃縮を禁止はしていませんが、逆に濃縮を行なう場合の条件が示されています。その条件とは基本的に韓国が原発で必要とする核燃料は米国が供給することを約束しています。しかし何らかの異常自体(ウランの高騰や核燃料の需要拡大により供給不足など)で、十分な量の核燃料が韓国に供給されない場合、韓国は自ら核濃縮(低濃縮限定)を行なうことが出来るというもの。
そもそも上記で書いたように「パイロプロセシング方式」が完成しない限り、使用済み核燃料からウランは取り出せないでしょうし、万が一米国が韓国に核燃料を供給できなくなり、独自に濃縮をしようにも、核濃縮は技術や機材が必要になり、それを前もって準備するのか? という最大の問題にぶち当たります。
結局はこれも、国内世論対策として表向きは禁止はしないけれども、実際に国内で核濃縮を行なうには非現実的なハードルが設定されていて現実的には不可能。ただ韓国が再処理を行なう名目(核廃棄物を保存スペースを少なくできる)上、「それじゃ海外で再処理して濃縮してもらうならOK」という逃げ道を作っています。
核兵器を作るつもりがないのならこれで十分でしょ? という米国の意図が透けて見てます。
※余談ですが、低濃縮ウランをいくら作っても核爆弾は作れません。核爆弾を製造するには「高濃縮ウラン(70%以上)」が必要となるので、低濃縮ウラン=核兵器製造に直ちに繋がるか言えばNOです。 しかも「パイロプロセシング方式」で抽出されるウランは高濃縮には向かないらしい。
今回の協定改正での実際のメリット
これはもう、米国製原子力発電の部品などを第三国に再移転(輸出)する際の許可手続きを撤廃につきます。管理人が笑ったのは協定調印の会見で
私たちが独自に開発した韓国型原発(APR 1400)を輸出しても、米国産部品が含まれており、米国の同意を得なければしましたが、今後は、このような部分を省略することができる。
と、以前までは「韓国の独自技術で開発した初めての原発(スマート原発)」と自画自賛していましたが、結局は重要パーツは海外製ということを自ら暴露しています。
商業原発を輸出する際の障害が無くなったため原発ビジネス的には収穫のある協定改正だったと思いますが、韓国が願った「再処理」「濃縮」は明確に禁止こそされなかったものの、核技術を米国に頼っている以上、今後も米国の「首輪」はついたままということです。
しかし韓国で核開発(再処理・濃縮)において韓国の自立性が大幅に確保されたと是正的に受け止められています。
直ぐに核を保有して隣のならず者を黙らせるよ。
日本は謝罪と反省をしなかった事を後悔するでしょうね。