SM-3とSM-6の違いを簡単の説明しておきます。
RIM-161 Standard Missile 3(SM-3)
もともとSM系ミサイルは艦船の搭載される艦隊空ミサイルです。そして現在、多くの艦船に搭載されているのがSM-2と言うミサイルです。これは対航空機やミサイルを迎撃するために作られました。
SM-3は日本でも割りと有名ですが、弾道ミサイルを中間段階(ミッドコース・フェイズ)で迎撃するために作られました。
⇒昇段階(ブースト・フェイズ) ロケット点火から大気圏を突破し宇宙空間に到達するまでのスピードが最も遅い段階のこと
⇒中間段階(ミッドコース・フェイズ) 宇宙空間を慣性飛行し大気圏に再突入するポイントへ飛行中の状態のこと
⇒終末段階(ターミナル・フェイズ) 目標めがけて大気圏へ再突入し最もスピードが早くなっている状態のこと
中間段階(ミッドコース・フェイズ)は、現実的にも、技術的にも一番迎撃の可能性が高い状態で、この状態の弾道ミサイルを迎撃するためには、高高度(宇宙空間)までミサイルを打ち上げる必要があるのと、通常大気圏内で航空機や対艦ミサイルを迎撃するときは、目標へミサイルを誘導し、仮に直撃しなくとも目標の近くで爆発させ「破片効果(爆風効果と破片効果で目標に損傷を与える)」で撃墜が可能だったりしますが、弾道ミサイルは音速を何倍も超える超スピードで飛行&落下しているので「破片効果」で損傷をあたえるのはほぼ不可能なので、弾道ミサイルに迎撃ミサイルを直撃させ、運動エネルギーで破壊する必要があります。
そのためSM-3は、通常のSM系ミサイルとは全く別物でミサイル迎撃用の特別なミサイルと言えます。
RIM-174 Standard Extended Range Active Missile (ERAMまたはSM-6)
SM-6はSM-2の正当な後継ミサイルで、航空機や対艦ミサイル、巡航ミサイルを迎撃することに主眼を置いて開発されたSM系シリーズの最新型です。一部の米海軍イージス艦には配備済みで、今後SM-2を運用している国はSM-6に更新していくと思います。
SM-6の最大の特徴はアクティブ・レーダーを備えているので、目標への誘導を行うために使用されるいイルミネーターへの負荷が、従来のSM-2に比べて大幅に軽減されたこと。
もう少し簡単に極端な言い方で言えば、従来にSM-2はミサイル発射から命中するまで、レーダーで捕捉している目標の情報を元にイルミネーターで誘導し続ける必要がありました。そのため同時に運用出来るミサイルの数に制限があります。
しかしSM-6は自身がレーダーを持っているので、発射してから大まかに目標の位置へ誘導してやれば、あとはSM-6のレーダーが目標を捕捉して飛行するので、1発のSM-6に使用されるイルミネーターの使用率がSM-2よりも少なくて済み、同時迎撃能力(同時に運用できるミサイルの数)が飛躍的に向上するという話
※分かりやすく説明するために、細かいところは無視して大雑把に書いたので多少事実とは異なる箇所があるのはご勘弁。
さらにSM-6は、SM-6を搭載する艦艇が目標を捕らえていない(艦艇が搭載するレーダーの範囲外)への攻撃が可能になっているが特徴。これは早期警戒機などが目標を発見した場合、近くにいる艦艇にSM-6をとりあえず発射してもらい、目標への誘導は早期警戒機からの情報をSM-6に送って、目標近くまで誘導するといった芸当ができると言う話。
随分前置きが長くなりましたが、韓国がSM-6を弾道ミサイルの迎撃にというのは、米軍はSM-6を終末段階(ターミナル・フェイズ)での弾道ミサイル迎撃に使用する予定です(一応テストも行い成功しました)
パトリオットPAC-3の海上発射版と言えばわかりやすいでしょうか?
ただPAC-3弾よりも射程が長いのでパトリオットPAC3よりも広範囲で、終末段階(ターミナル・フェイズ)における弾道ミサイルの迎撃が可能になるのか・・・ どうか管理人はまだ分かりません。
SM-3にしても、SM-6にしても、弾道ミサイルを迎撃するためには、イージスレーダーを弾道ミサイル防衛システム(BMD)に対応させる必要があるので、韓国海軍がSM-6を導入しただけでは、弾道ミサイルの迎撃は難しいでしょうね。