米国がステルス機を開発する意図とは何か?という独自記事です。
ステルス機開発の真の意図は何なのか?
F-177やF-22が登場して以来、「ステルス」という性能に注目が集まっています。
平家にあらずんば人にあらず
とまでは言いませんが、最近の戦闘機は「ステルス機であらずば~」なような雰囲気さえあります。ゲームや映画では「ステルス機」が無双するシーンが描かれて、ますます「ステルス機への信仰」は高まるばかりです。
では実際にステルス機とは、どうのように役立つのか? と言う点を簡単に解説してみます。
高価なステルス機が、コスト削減に繋がると言う奇妙な話
まず始めに否定から入りますが、米軍がステルス機に求めるのは「ゲームや映画で描写されるような無双な空中戦での勝利」ではないと言うこと。
じゃ、米軍が「ステルス機」に求める最大の要求とは何か?
ずばり「コスト削減」です。
F-22が史上最高額の戦闘機で、B-2爆撃機は金よりも高いなどと言われているのに、何を言っているのかと思われますが、ここで言う「コスト削減」とは「機体価格」ではなく、「作戦コストの削減」を意味します。加えて言うなら「作戦を行う上での戦力の効率化」と言っても良いですね。
どういう事かと言うと、仮の設定を用いて説明します。
例えばとある国で核開発が発覚し、再三の警告にも応じず核兵器は完成直前。そこで米国はその国の核兵器製造施設を破壊することにしたという設定で説明します。
核兵器開発施設を空爆するのに必要な戦力を非ステルス機で行う場合
これが本命の部隊
・目標を攻撃するための爆装したF-15EかF-16
これが本命を支援するための部隊
・制空権を確保するための対空戦用のF-15C
・敵防空網制圧のためのEA-6や、ワイルド・ウィーゼル機
・これを支援するための早期警戒機
・これを支援するための空中給油機
・失敗したときの為の、バックアップ機
これをステルス機で行う場合「ゲームや映画」のように単機では無理ですが、支援するための部隊が少なくて済むという話です。作戦部隊の規模が小さくなれば、それを管制する早期警戒機も少なくて済み、機数が減れば空中給油機の数も減らせます。何より人命が失われるリスクが減少します。
手持ちの作戦機を全てステルス機に変更すれば、より多くの作戦が行える=作戦の効率化という訳です。
もう一歩踏み込んで言うと、最近の軍用機は機体価格が高騰していますが、昔に比べて長期間使用されるため、アレだけ高い機体価格よりも、運用コスト(保守部品、燃料代、パイロットの育成などなど)のほうが最終的には高くなります。
そのため同じ任務でも、より少数の作戦機で作戦が遂行できれば、それだけ作戦にかかるコストが削減できると言う話。
米国がステルス機を開発して配備している最大の目的はこれです。
ステルス機導入メリットの全てを享受できるのは米国のみ
もちろん戦術的な戦闘で、ステルス機の方が有利という側面もありますが、それはステルス性だけではなく、同時に進化した電子装置(レーダー等)や、性能が向上したミサイル等の性能があっての話です。
今回の話は、戦闘においてステルス機の有効性を否定するものではなく、もっと大きな視点で考えた場合、このような効果があるという話です。
米軍はステルス機の開発で「直接交戦時における有利さ」と「作戦コストの削減」という2つのメリットを得られますが、米軍以外の国で、そう頻繁に実戦を行うことは稀なので、米軍以外の国は「直接交戦時における有利さ」の部分しかその効果を得られないというお話でした。
※個人的な見解も入ってるので、こんな話もある程度でお願いします。
やはりKFXにはステルスが必要ニダ!
<ヽ`∀´>予算予算…