FA -50は、韓国で作った初の超音速軽攻撃だ。韓国航空宇宙産業(KAI)が米ロッキード・マーチン社の技術支援を受けて、2008年から開発を開始した。実際には「韓国型軽攻撃機事業」で、かなり以前から計画されていた。
1993年に樹立された韓国型訓練機事業(KTX-2)に基づいて、2001年に韓国型訓練機T-50を量産し、ここから段階的に武装を追加し、パフォーマンスを改善した「最終型」がFA-50である。
最高速度はマッハ1.5(約1836㎞/ h)に達し、自動化された生存システムと精密誘導爆弾投下能力など先端技術が適用された。
20年かかった宿願事業の成果がFA-50である。2014年10月30日空軍原州基地で行われたらFA-50戦力化イベントには、パク・クネ大統領も出席した。朴大統領は祝辞で「FA -50は創造経済の成功モデルであり、韓国型戦闘機(KF-X)開発への第一歩を踏み出すだろう」と述べた。
「FA-50戦力化有功者」に選定された空軍の関係者は大統領表彰などを受けた。開発会社であるKAIは、2013年のイラクに24機、2014年フィリピンに12機輸出契約を結んだ。ペルーとタイなどへも輸出交渉が進められている。
朴大統領は、昨年4月にKAIが防衛不正疑惑で監査院の監査を受ける中でも、南米首脳とFA-50輸出交渉をした。
韓国空軍はFA-50 60機を運用している。防衛事業庁はKAIと2011年、2013年の二度にわたって計1兆8100億ウォン規模の量産契約を結んだ。1機当たり300億ウォン程度だが、エンジンとトレーニングマニュアルを合わせれば、もっと高額になるだろうという観測が多い(KAI側は今後の輸出計画を理由に、正確な量産コストの公開を拒否した)。
天文学的金額が入った航空機の安全に責任を持つ人は整備士である。
空軍はFA-50を含むすべての航空機に「整備機長」を設定している。整備機長は、準尉〜軍曹階級の職業軍人で、各整備機長は、自分が担当する航空機の整備を統括する。
甲・乙・丙の整備機長はA・B・Cの航空機を共同で管理するのではなく、甲-A、乙-B、丙-C方式で「マッチング」する。整備面での整備機長は一種の飛行機管理の主人であるわけだ。
整備機長は、高度の熟練労働力である。単に航空機整備業務を長く携わった全ての機種の整備機長ができるわけではない。空軍の航空機整備機長の資格を得るためには、その機種の整備機長資格試験に合格しなければならない。
総合資格ではなく、該当機種に合わせて資格試験に合格しなければならない。機種別整備キャリアが必要である。
空軍本部は「航空機整備管理指針」で、航空機の種類別に必要な整備のキャリアを分類して規定した。戦闘任務機に属するFA-50整備機長になるには「整備実務経験2年以上、該当機種の整備の実務経験1年以上」が必要である。
しかし、原州空軍基地のFA-50整備機長が規定よりも速く養成されている。
昨年、空軍本部が通達した原州空軍基地のFA -50戦闘機整備機長資格のガイドラインを「プレビューIN 」が入手した。入手した「FA -50への切り替え整備士教育計画」によると、空軍本部は原州空軍基地のFA-50整備機長資格取得基準を緩和した。
既存の1年ではなく、6ヶ月のFA-50整備キャリアを満たせば整備機長ができるようにしたものである。必要キャリアが半分に減ったわけだ。
内部規定上、他の航空機も1年未満のキャリアでは、整備機長になることができない。安全のために設けた実務経験規定がFA-50だけ減ったのだ。
空軍の飛行機墜落事故の原因に常に上がるのは「整備不良」
空軍はFA-50 60機を原州と醴泉に分散配備している。原州空軍基地に40機を配備していることが分かった。整備の実務経験緩和ガイドラインは、まさにこの原州基地の整備士だけを対象としている。醴泉基地のFA-50整備機長候補者は、当初の規定に従って1年の間の実務経験プロセスを踏まなければならない。
空軍の関係者は「FA-50が原州基地に多く配備されたので、整備機長も早く養成しようとするだろう」と述べた。
1年間に学ばなければならなことを6ヶ月で取得しろと言われれば現場ではどんなことが起こるか?
原州空軍基地では「軍隊式」で学習量を補充した。監督官はFA-50整備機長候補者に、ほぼ毎日の夜勤と週末勤務をさせた。候補者の休暇も制限された。
さらには「残りの勉強」の内容も問題であった。
整備の実務に慣れるより、試験に出てくるマニュアルだけ読破した。夜遅くまで机に向かって「詰め込み式」に勉強をすることが、整備士たちの日常だった。
その過程で落伍者も出てきた。
空軍の関係者は「6月8日原州空軍基地で行われた整備機長実務試験で受験者14人全員が不合格だった。整備機長が一人も出てこない状況になると、整備試験の監督官が評価を行った試験官に「何人かだけでも合格させて欲しい」と要請した話がある」と主張した。
これに対して原州空軍基地の関係者は「試験があったのか公開することができない」と述べた。
空軍本部側は「確認の結果、原州基地整備機長試験はまだ進行中であり、合格が決定した人はいない」と釈明した。
整備不良は、空軍の飛行機墜落事故の常連原因である。2012年11月15日午前10時28分、空軍T-50B航空機が江原道横城山に墜落した。離陸から5分後のことだった。
事故機は粉々になりパイロットのキム少佐(32)は殉職した。空軍の事故調査団は、事故の原因を「整備士のミス」と明らかにした。その整備士の直属の上司は、事故から12日後に自ら命を絶った。
FA-50は、墜落したT-50Bと同系列の戦闘機だ。墜落事故が起きたT-50B訓練機も原州空軍基地所属であった。
2013年9月26日、忠北曽坪で墜落しパイロットが緊急脱出したF-5E航空機事故も整備不良によるものであった。
空軍本部は整備実態の深刻さを知らない。昨年9月に空軍本部は、内部規定である「航空機整備管理指針」を全面改訂し、改訂の背景に「人的過失事故(2012年T-50B、2013年F-5E)以降、空軍本部・司令部からの指示・強調した業務指針体系的の再確立が必要」と話した。
空軍本部の関係者は「機長資格緩和ガイドラインは、規定上問題がなく、必要な措置だ」と述べた。内部規定の「新機種戦力化部隊など、現行の基準の適用が非常に制限される場合には、参謀総長の指示に応じて(整備機長資格要件である)の実務経験を調整することができる」という「但し書き」を根拠に挙げた。
これに対して1年間の実務を経験した整備機長が排出されるまで、FA-50の作戦投入を先送りすることができないか尋ねてみた。この関係者は「不可能である。戦力化運用について、空軍はそれなりのマスタープランがある」と答えた。
このような釈明に空軍関係者は「「戦力化という概念は、飛行機の購入とパイロットの訓練、整備機長の要請の両方を適切に終えたことを意味する。空軍は飛行機の購入のみ高額な費用をかけて、安全に責任を持つ整備機長の訓練を無視している」と述べた。
2000年以降、空軍の航空機は25回墜落した。殉職したパイロットは26人である。
A朝鮮人だから