米国国務省は20日、日本に艦対空ミサイルの販売を承認すると明らかにし注目を浴びた。日本へ艦対空ミサイル246発とミサイルを収納するキャニスターや関連機器など計8億2100万ドル分の武器販売を承認するという内容であった。
これは米国国防総省傘下の安全保障協力局(DSCA)からの要請を、米国国務省がそのまま受け入れたのである。
今回の発表は、北朝鮮が弾道ミサイルを発射し、米国の同盟国である日本への脅威を露骨に表し、経済力を基に軍事力を増強している中国が東シナ海で釣魚島(日本名:尖閣諸島)を巡り、日本と領有権紛争を繰り広げている状況なので、注目を受けるに十分な内容である。
日本が購入するミサイルは現在、日本の海上自衛隊が運用しているイージス艦のこんごう級、イージス艦あたご級や、現在建造中の次世代イージス艦2隻に搭載する艦対空ミサイルなのでより一層だ。
◆艦対空ミサイル246発を購入する日本 米国務省の発表によると、日本が購入するとしたミサイルは全部で246発である。SM-2艦対空ミサイルである。さらに、これらのミサイルを収納する垂直発射管(VLS)と発射システムなども含まれている。このミサイルは米国と豪州、韓国、日本、台湾、ドイツ、オランダ、カナダ等が運用している。
日本が今回購入するミサイルの数量は、韓国と比べてみると本当に途方もない。
韓国も同じミサイルを購入する予定だが、その量を日本と比べれば見すぼらしく見える。
米国政府は7日、韓国へ計17発のSM-2 Block IIIBミサイルと垂直発射システムの販売を承認したと明らかにした。総額6500万ドルと推定される。
韓国軍は、SM-2 Block IIIA(李舜臣級)と、IIIB(世宗大王艦級)を保有している。
日本は、今回購入したミサイルを、日本が保有しているイージス艦と現在建造中の2隻の次期イージス艦に搭載する予定である。日本は、こんごう級4隻、あたご2隻など6隻のイージス艦を保有中で、ここにSM-2ブロックIIIAとIIIBを搭載している。
日本は、これまで数百発の各種SM-2ミサイルを輸入してきた。SM-2ブロックIIIBだけでも90年代に106発、2009年163発、2010年133発、2012年の120発を購入した。
したがって計8隻イージス艦が、これらのミサイルで武装すれば、それこそ水も漏らさない対空防衛網が構築されるものと見ても構わない。
DSCAも「イージス戦闘システムと組み合わせると、SM-2ブロックIIIBは東シナ海と西太平洋、そして海上交通路の大部分に対空防御能力を提供する」と明らかにした。
◆SM-2ブロック IIIBはどのようなミサイル? 日本が購入するミサイルの正式名称は「RIM -66M-09 SM-2ブロックIIIB垂直発射ミサイル」である。米国の防衛産業レイシオンが提供する中距離艦対空ミサイルである。
ミサイルは完成品の状態で垂直発射筒(キャニスター)に収納されている。SM-2ブロック IIIBミサイルは艦隊の対空防衛兵器として挙げられる。
味方艦艇に向かって飛んでくる高速飛行中の敵の対艦巡航ミサイル(ASCM)や航空機を迎撃するためのミサイルである。限定的ではあるが海上ターゲットへの打撃能力も備えている。
このミサイルは1988年、米海軍に初導入されて以後、改良に改良を重ね、今日に至っている。
長さ4.72m、重量708㎏、直径34.3㎝、胴体を含む翼幅は1.08m、飛行速度は最高マッハ3.5、固体燃料を使用する1段ミサイルで、迎撃高度は20㎞、射程距離は最大150㎞と知られている。
SM-2ブロックIIIは低高度の目標への打撃能力を向上させ、SM-2ブロックIIIAは、一方向に高速な破片の爆風を指向できる新しい弾頭を装着したタイプで、IIIBはスタンダードミサイルファミリーの進化形である。
ブロックIIIAのセミアクティブ誘導方式に加え、赤外線誘導方式を追加し、電子戦対応能力がより優れている。さらに推力方向を変える推力偏向ミサイルでもある。このため対艦巡航ミサイル防衛能力が優れているという評価を聞く。
◆日本、イージス艦で弾道ミサイル防衛 中国は最近になって中国版イージス艦建造に拍車をかけている。052D型がそれである。
中国は最近、052D型4番艦である銀川を就役させ、南海艦隊に配置した。052D型はネームシップの昆明の名前を取って、昆明級や旅洋III級とも呼ばれている。
これにより、南海艦隊だけ052D型が4隻、052C型が2隻、計6隻のイージス艦が海を駆け巡ることになった。
これに対応して、日本でもイージス艦戦力を大幅に強化している。あたごに基づいて、最新のイージス艦を2隻追加建造するほか、既存のあたご級改良にも拍車をかけている。
日本政府は、2013年末に閣議決定された2014~2018年度の中期防衛力整備計画で、イージス艦2隻を新たに調達という計画を反映しており、追加されたイージス艦は2020年度から運用されることが分かった。
日本の防衛省は、新しいイージス艦2隻に、敵のミサイルの位置情報を味方イージス艦や早期警戒機など共有できるようにする共同交戦能力(CEC)システムを搭載する計画である。
こうなると日本のイージス艦は、直接標的を探知できない場合でも、受信した情報に基づいて敵のミサイルを迎撃することができるようになる。
日本はまた、あたご級イージス艦2隻の改良事業も行った。弾道ミサイルと対艦ミサイルを同時に監視、迎撃できようにコンピュータの能力を向上させ、護衛艦がいなくても、敵の攻撃に対処できるようにソフトウェアを改良した。
さらに、あたご級イージス艦は、こんごう級よりも長くて大きな大型戦艦である。
長さ165m、満載排水量は1万tに達する。垂直発射管(VLS)が96セルに増え、船首に64セル、船尾に32セルが設置され、SM-2、SM-3、対潜ミサイルを収納する。
ハープーンの代わりに日本の90式対艦ミサイル8基が搭載されている。
高機能なAESAレーダーと強力なコンピュータは、同時に200以上のターゲットを探索、検出、追跡することができる。日本はまたイージス艦による弾道ミサイル探知能力拡大も推進している。
レーダーの探知範囲を広げ、SM-3ミサイルを搭載したあたごイージス艦2隻で弾道ミサイル攻撃から日本全域を守ることができようにするというのが日本の計画である。
日本はすでに弾道ミサイル打撃能力がある SM -3ブロック1Aミサイルも獲得した。このミサイルは、宇宙空間で飛んでくるミサイルを撃墜することができる性能を誇る。
長さ6.55m、重量が1.5t、最高速度はマッハ7.8であり、迎撃高度は最高500㎞、射程距離は500㎞だ。
日本はすでに2007年と2009年、2010年にハワイ沖にある米海軍のミサイル試験場で、弾道ミサイル迎撃試験に成功した。
日本のイージス艦から発射されたSM-3ミサイルは、太平洋上空60〜100マイル(96.6〜161㎞)の距離で中距離弾道ミサイルを正確に迎撃したという。