あれ? 東海併記法案って廃棄されたんじゃないの?って方へ 米国での在米韓国人が行っている「東海併記法案」のまとめです。
現在、教科書への東海を併記する法案はバージニア州とニューヨーク州で審議され、ニュージャージー州で法案提出のために在米韓国人が運動を行っています。3月13日時点で東海併記法案が発効した例はまだありません。
東海併記法案が各州で一体どのようになっているのか知る前にアメリカの立法権について、ざっくり解説します。
日本では、法律をつくるための立法権は地方自治体(厳密に言うと条例などがあります)にはありません。日本では内閣と議員がそれぞれ立法権を持っています。そして国会で可決された法律は形式上内閣総理大臣が署名をしますが、拒否権はありませんので衆参で可決されれば実質即発効します。
しかしアメリカでは国としての
「連邦法」と州独自の
「州法」があります。各州は州政府として州の独自の法律を持っています。(一応州法より連邦法に優位性があります)
そしてアメリカでは大統領や州知事に「立法権」が一切ありません。「立法権」をもっているのは議員だけです。日本とのもっとも大きな違いは
立法権がない大統領や州知事は「拒否権」を使って「立法権」に間接的に関与するということです。日本の感覚で言えば議会が可決した法律を拒否したりするのはどうなんだろう?的な考え方もありますが、米国では当たり前のように行使される権利です。
拒否権は、単純に「この法案には署名しないよ~」という意味でも行使できますが、このような後ろ向きの使われ方はまずされません。ではどのように使われるのかというと、議員立法で審議され可決された法案に対し、
このままでは「署名できない」として知事が修正を指示したり、自ら修正法案を議会に提示することができます。知事からの修正指示や修正法案に対しもう一度「原案」と「修正案」を比べ審議をし採決とります。
このように、自ら立法権を有し法律制定に直接関与する内閣総理大臣とは違い、
立法権はないけど「拒否権」をもつ大統領と州知事は「拒否権」を積極的に活用しています。拒否権は意外と使われる一つの政治手段だということを覚えておいてください。
バージニア州の「教科書への東海併記を義務づける法案」は、とても分かりにくく勘違いしやすいのですが、
上院案と下院案の2つの法案が提案され両方とも可決されました。その後可決された法案の、上院案は下院へ、下院案は上院へまわされ「クロス審議(相互審議)」をうける過程で、上院で審議されていた下院案は廃案になったのですが、
上院案が下院を通過し知事へ送付されました。あとは知事が4月5日までに署名をするのか?それまでに修正案を提出するのか?こんな状況です。そして日程にもよりますが修正案を出せば一から審議をし直さなければならないので余程の重要法案でないかぎり後回しにされます。実際バージニア州の議会は通常会期期間に予算案を成立させられず大揉めなので、
3月末からの特別会期に修正案を出せばほぼ審議されず時間切れで廃案に追い込めます。本当にあとは知事次第です。
ニューヨーク州では、議員立法で「教科書への東海併記及び慰安婦の記載を義務づける法案」が提案され、
委員会採決で可決され上院本会議へ回されることになりました。現在ニューヨーク州では上院案しか確認されていません。(注:情報によると下院にも同様の法案の提案しているそうなので実際には既に下院の委員会で審議されているのかもしれません)今後上院での審議と採決>下院でのクロス審議>知事署名と阻止できる機会は多いので、バージニア州の経験もあることですし日本の外務省も既に動いているとは思います。
ただニューヨーク州の法案がバージニア州の法案に比べ極悪で、「日本海/東海」の併記か、併記しない場合には「東海」の単独表記が義務づけられています。さらにおまけで慰安についても記載を義務づけているですが、逆にこれは名称の表記だけではなく、日本政府が公式に否定している慰安婦問題について記載するといっているので、政府が堂々と介入できるんじゃないかと思います。現在、ニュージャージー州でも下院に「内容不明な東海併記法案」を提案する準備をすすめているらしいです。まだ具体的な行動や情報は未だつかめていません。
在米韓国人はとにかく、同じ内容の法案を上下院両方に提出し保険をかけているようです。最悪どちらが潰されても片方が生き残ればOK。もし両案が通れば政治的メッセージとしての「全会一致」を大々的にアピールし「東海」の正当性を謳うつもりでしょう。
このように各州法をひとつづつ守らないといけない防戦一方なのが現状で、そこで管理人の私案ですが、連邦議会に働きかけて連邦法で教科書への地名記載の基準を「国際連合地名標準化会議発行の大洋と海の境界に準じる」と制定してしまえば、連邦法は州法より優先されるので、この一発で州法を攻める在米韓国人の意図をくじけるのではないかと思います。まぁあくまで理想論ですけど。