読者記事募集に「日本と韓国は敵か? 味方か?」様から応募がありました。
写真引用:日本と韓国は敵か? 味方か? HP画面キャプチャ
※この記事は2014年4月27日に書かれた記事です。
戦時作戦統制権の返還は大きなターニングポイント
今週、日本では日米首脳会談が行われ、韓国でも米韓首脳会談が行われました。オバマ大統領は日本では、集団的自衛権に賛成し、韓国では戦時作戦統制権の返還時期を見直すと話しました。ただ「見直す」と言う話で「延長する」と決定はしていない状況です。この韓国の戦時作戦統制権の返還と、在韓米軍の撤退は北東アジアにとって、おそらく大きなターニングポイントになります。
戦時作戦統制権とは戦争時に軍隊の作戦を指揮する権限で現在のところ韓国ではなく在韓米軍司令官が持っています。盧武鉉大統領時代に自主国防を強調し戦時統制権の返還を求め、何度かの話し合いの後に2015年に返還すると言う話になりました。戦時作戦統制権が韓国に返還されれば、米韓連合軍司令部は解体され在韓米軍のほとんどは撤退します。これは北朝鮮と休戦中の韓国にとって有事の際に韓国軍が単独で防衛することを意味します。
この問題に関しては韓国国内でも大きな議論になっています。「アメリカは撤退しろ」という勢力と「アメリカに守ってもらおう」という勢力がありますが、パク大統領は返還延期を希望しているようです。
しかし、このまま2015年に戦時作戦統制権が返還され在韓米軍が撤退すると、朝鮮半島はまるで朝鮮戦争前のアチソンラインのような状況に陥ります。
記事制作者補足:1950年1月12日アチソン国務長官が「アメリカが責任を持つ防衛ラインは、フィリピン-沖縄-日本-アリューシャン列島までである。それ以外の地域は責任を持たない」と発言しました。それを聞いた北朝鮮は半年後に韓国に奇襲攻撃を行い朝鮮戦争が勃発しました。
これについては韓国サイドでも盛んな議論が起きています。私が感じた印象は「韓国から在韓米軍が撤退するとは思っていない」という意見と、「アメリカが韓国を見捨てるはずが無い」と言う意見です。盧武鉉大統領時代には反米デモが行われたり、撤退論が多かったのですが、現在では在韓米軍が必要と思ってる人がやや多いようです。また「韓国を見捨てるはずが無い」という意見の根拠として、韓国はアメリカが中国と戦争をするとしたら韓国が橋頭堡として必要だと思っているようです。
確かに韓国の意見にも一理あると思います。しかし、この件にアメリカ・中国・韓国・日本・北朝鮮の思惑が複雑に絡んでいます。
アメリカは2001年の共和党政権の始めたイラク戦争と、アフガニスタン戦争で多くの出費をし、多くの若者を失い、民主党のオバマ政権は戦争に疲れた状況です。そしてオバマの任期は2017年1月まで。
中国の習近平政権は任期内の台湾併合を目指し、空母を保有し海軍を増強して、第一列島線であるアチソンラインの外に出ようとしています。
日本は中国の第一列島線突破の願望を把握しているので、海兵隊を作り尖閣諸島と沖縄を中国から守ろうとしています。
ロシアは北朝鮮の借金を無くし、パイプラインを作ろうと考えており、ソチオリンピックではプーチンと北朝鮮の金永南最高人民会議常任委員長が会談しています。
そして韓国ですが、これが大変複雑です。韓国はアメリカの同盟国であり、日本はアメリカの同盟国です。本来であれば日米韓が3カ国で協力して中国の圧力に耐えるべき関係です。しかし韓国は輸出の多くを中国に依存しパク大統領は習近平政権と親しく外交しています。韓国は中国に経済を握られている上、北朝鮮との平和的統一のためには中国が必要だと考えています。
結局、対北朝鮮に備える為に在韓米軍を必要とし、経済と統一のために中国を必要としている以上、何方か一方の肩を持つわけにはいかず、中国に配慮する形でアメリカが進めるMD計画への参加を拒否しました。このことは米国防総省にとって大きな失望を産みヘーゲル長官も不満だったようです。そのためヘーゲル長官のアジア訪問の際、韓国への立ち寄りがなくニューヨークタイムズが「韓国に立ち寄らないのは異例だ」と報じていました。
2013年、韓国のキム・ミンギ議員が「韓国と北朝鮮が戦争をすれば、どちらが勝つと思うか」と質問した際に、韓国情報本部長は「韓米同盟の戦いでは私たちが圧倒的に勝つが、米軍なしで南北が1対1で戦うと、私たちが負ける」と答えました。
この答えについて韓国人の多くは否定すると思いますが、日本人の多くは肯定すると思います。実際、朝鮮戦争ではソウルは3日で陥落しました。私は次回も似た状況になると考えています。何故なら、先日のフェリー沈没事故で韓国軍と韓国政府の対応を見れば「韓国には作戦遂行能力が無い」と感じた人は多いと思います。そのため韓国は在韓米軍が絶対に必要と思っているはずです。
しかし不思議なことに韓国の崔潤喜海軍参謀総長が中国の北海艦隊司令部を訪問した際、中国海軍の最新型潜水艦に乗って中韓の親密さをアピールしています。本来なら韓国はアメリカに「オールイン」すべき立場ですが、中国の視線がありオールインできません。先日の日米韓首脳会談の直前にも、まるで許可を求めるように中韓首脳会談をしています。
日本人の私から見ると韓国は国防上、アメリカを絶対的に必要としながらも「オールイン」できない言い訳に「日本を利用し、どちらの肩をもつこともなく、米中双方にいい顔をしている」ように見えます。
これについて韓国の方がどのように思っているのか是非意見を聞いてみたいと思います。
ホル韓管理人の感想
韓国の戦時作戦統制権に関連してよく「在韓米軍が撤退する」という意見を見聞きしますが、管理人の考えでは戦時作戦統制権を韓国に返還した所で在韓米軍の撤退はありえないと思っています。韓国の戦時作戦統制権については誤って伝わっている情報が大半で、その中でも「統制権が移管されれば、在韓米軍が韓国軍の指揮下に入ることになる」と言われているのは大間違いです。
モノのついでに簡単に説明しておきます。
■現在の韓国軍の場合・平時の作戦権は韓国軍にある(デフコン5~4相当)
・デフコン3から韓国軍の作戦権が韓米連合司令部へ移る。
ここで注意したいのは、有事の作戦権は韓米連合司令部にありますが、
全韓国軍が韓米連合司令部の指揮下に入っているわけではありません。代表的な所で、首都防衛司令部隷下の全ての部隊、第2作戦司令部隷下の全て師団、特殊戦司令部(特殊部隊のこと)、その他にも色々あって、ざっと見たところ陸軍の兵力の約半分程度は韓米連合司令部の指揮下に入っていないので、有事になったとしても引き続き韓国合同参謀本部が指揮します。
要するに有事に韓国軍には全く作戦権が無いのは間違いで、有事の際に在韓米軍と韓国軍から抽出した有力な部隊を統合運用するのが正しい戦時作戦統制権の認識です。
この方式はNATO軍のやり方に良く似ており、有事の際に共同運用する部隊への戦力提供は各国に裁量があるのと一緒です。■戦時作戦統制権が返還された韓国軍の場合・平時も有事も韓国軍の作戦権は韓国合同参謀本部に属する。
・在韓米軍の作戦権は米軍に属する。
・統制権返還後も空軍の戦時作戦権は米軍に属する。
在韓米軍は韓国合同参謀本部の指揮下には属しません。
韓国軍と在韓米軍はそれぞれが独立した作戦権を有し、有事の際はお互いに協力をしていく予定です。
この方式は、日本の自衛隊と在日米軍の関係に近いやり方です。以上の事を踏まえて「米軍が韓国軍の指揮下に入ることはあり得ないから、戦時作戦統制権が移管(返還)されれば在韓米軍は撤退する」というのはネタに過ぎません。あくまで管理人が調べた情報を元にした予想です。ただし他の要因、たとえば「韓国が中国と同盟を締結した」とか別要因での撤退の可能性までは否定しません。
長くなりましたが読者記事に応募してくださった「韓国は敵か? 味方か?」様はありがとうございました。この記事以外にも「日本と韓国は敵か? 味方か?」様のHPには、独特な切り口で書かれた沢山記事があるので是非覗いてみてください。
サイト名:日本と韓国は敵か? 味方か?
URL:
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フィリピンのように米韓相互防衛協定を維持したまま完全撤退するんではにのでしょうか?w
ミサイル防衛やってくれなきゃ朝鮮半島に金を出す意味ないし。
日本にレーダー基地を作っているしw